アマリン社の高純度EPA製剤Vascepa、心血管系リスクを「大幅に低下させる」データを示したREDUCE-IT試験結果の影響は?

アマリン社の高純度EPA製剤Vascepaの第三相「REDUCE-IT」試験の心血管系アウトカムリザルトが発表された。この試験結果で発表された心血管系リスク低下のデータに対して驚き認めざるを得ない。

「REDUCE」するだけではない、心血管系リスクを「大幅」に減少

今回のREDUCE-IT試験では、スタチンで心血管疾患の再発・初発予防を行っている患者のうち、LDLコレステロール値は100mg/dL以下だが中性脂肪(トリグリセライド値)が150~499mg/dLと中等度に上昇した患者8179人を対象に、プラセボ群と4mg/日を投与する群に無作為化割付して、致死的心血管疾患、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、冠血行再建術、不安定狭心症による入院の心血管系のリスクを4.9年間比較した。

この試験で、Vascepaは主要な心疾患系の有害事象のリスクにおいて25%の低下と驚異的な臨床結果を導き出した。

オメガ3脂肪酸に関する心疾患系に関する有効性に関しては、過去に、GISSI-Prevenzione試験、JELIS試験でも示されている。しかしながら、スタチンに関しても数多くの心疾患アウトカム試験が出され、現在はスタチンが主要な脂質低下のための治療法となっている。オメガ3脂肪酸からの更なる心疾患系のリスク軽減のエビデンスが出されるものの同領域のソートリーダーの間ではこれらのエビデンスは決定的ではないというのが一致した見解であった。LDLコレステロールは重要な脂質低下の目標であるのだが、心疾患系リスクの低下を伴った臨床データを示すことができず、現在、家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症を対象に承認されているPCSK9阻害薬でも15%のリスク低下しか達成していない。今回のVascepaは、25%と非常に高いリスク低下を示すことができた。

Vascepaはゲームチェンジャーとして浮上?

Vascepaが、心疾患系疾患リスクを下げる医薬品として「ゲームチェンジャー」になりうるのか、なりうるとするとどのようにすればいいのか?DRGとして、まずは以下3つの重要な要素を検討してみたい。

• 製剤としては?
• トライアルデザインは?
• 最適な容量は?

医薬品として競争力のある効果があるのか?それを示すために正しい臨床試験をしているのか?そして適切な用量はどの程度なのか?

製剤として、Vascepaは、高純度EPA製剤(エイコサペンタエン酸)のエチルエステルである。 ほとんどのオメガ3脂肪酸化合物は、EPAとDHA(ドコサヘキサエン酸)との組み合わせである。 GSKのLovazaはLDLコレステロール値を上昇させるが、Vascepaはしていない。トライルデザインに関して、REDUCE-ITは、非常によく設計された試験である。 この臨床試験の経過観察期間は約5年もあり、アウトカムの差異をしっかりと観察することができた。 対照的に、PCSK9阻害剤での心疾患系リスクのアウトカム試験の期間は3年未満であり、長期間の観察による中等度の心疾患系リスク軽減への有効性に関しては試験結果がなかった。
さらに、REDUCE-IT試験では、Vascepaの最大処方用量を評価している。 これまでの試験では、オメガ3をベースとした準最適投薬方法をしばしば評価してきただけであった。

ネクストステップは?

いくつかの探究心をそそる大きな質問がいくつも残っている。では、Vascepaは、心疾患系のすべての障害、および疾患に効果があるのか、そして心疾患による死亡率を下げることができるのか?心疾患リスク低下の有効性は一次および二次予防のグループの両方で見られるか? そして、FDAは、中等度の中性脂肪の高い患者を治療する医薬品の承認を今後検討する予定か否か?

2018年11月のAHA(American Heart Association)で、このREDUCE-IT試験の詳細が紹介される。DRGは、この結果の発表により、中性脂肪を標的とする心疾患系リスク減少を対象とした多くの研究開発を活性化させると確信している。
REDUCE-ITの結果では、米国以外でのVascepaの承認の可能性を広げる期待もされる。 Vascepaの使用を更に加速させるためには、低価格での市場投入が求められるのではあるが、潜在的に治療自体を大きく変えるゲームチェンジャー足りうる可能性を秘めている治療薬にプレミアムを付けることで、アマリン社を責めることは出来ないかもしれない。

 

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