オプジーボとヤーボイ併用はどのように使われている?複雑さを増すオンコロジー領域の治療実態を把握する方法

がん領域での、治療選択肢の拡大により、研究から開発、そして営業・マーケティングの状況はここ数年で大きく変化をしています。

従来から、治療実態の把握は製薬会社にとって意思決定に不可欠な情報でありましたが、オンコロジー領域においては環境が大きく変化をしております。

  • がん免疫療法の適応症の拡大
  • 併用療法のレジュメンの増大による患者セグメントの細分化
  • 治療ライン別の患者数の把握だけでは見えない真の治療実態

多くのオンコロジー領域のプレーヤーは、治療ツリーだけでは、戦略的意思決定にとっては不十分であるという課題に直面しております。
そのため、治療実態の把握と情報活用に大きな時間と投資を費やしています。

さて、今回のブログは、以下のYoutube「Treatment Sequencing: Navigating the Complex System of Pathways in the Oncology Ecosystem」を日本語に翻訳、編集し、全文日本語でお届けします。

DRGオンコロジー部門のアナリストであるレイチェル・ウェブスターがより複雑さを増しているオンコロジーの治療領域でいかに治療の実態を正確に把握するために、従来の治療アルゴリズムに加えて治療シークエンスを活用する方法をケーススタディを通じて解説をしますので日本語記事とあわせて動画もご活用ください。

複雑なオンコロジー治療実態把握の課題とは?

こんにちは。オンコロジー領域アナリストのレイチェル・ウェブスターです。

オンコロジー領域は今、非常に刺激的で活気のある時期にあります。今日は、オンコロジー領域のエコシステムの中で複雑に系統化された治療プロセスの中で、より正確な治療実態をどのように活用し、戦略的な目的を達成できるのかを説明します。

その中でも課題解決のための治療実態の活用がさらに大きな話題となっていますが、実は一筋縄でいくものではありません。近年の治療薬の増加により爆発的に治療オプションが増え、治療プロセスを正確に把握することは非常に難しいからです。今日のがん治療、研究開発は併用療法を中心となり、それによってオンコロジー領域の治療状況がこれまでにはなく複雑になっています。

製薬会社にとっては、特定の適応症にする正確な治療の実態を把握したいものの、オンコロジー領域の治療は複雑で、正しい治療の実態を活用できず、戦略的な判断をしていることが多いことも現実的な問題です。

これは、まるで地図を持たずに、目的地に到着しようとしている、そのような状態であると言っても言い過ぎではないと言えます。

それでは、オンコロジー領域における複雑な治療プロセスがあるかで、製薬会社はどのように情報を活用して、戦略プランを立てれば良いのでしょか?
そのためには、各適応症における治療のアルゴリズムと「治療シークエンス」の活用が役に立ちます。ここでは二つの状況を想定して、それをお話ししましょう。

  • 米国市場において正確な治療実態を「治療アルゴリズム」と「治療シークエンス」を活用、ポジショニングを把握し、競合上の脅威を正しく把握する方法
  • EU5カ国(仏、独、伊、西、英)での医師の専門分野による「治療シークエンス」の微妙な差異を理解する方法

米国市場において正確な治療実態を「治療アルゴリズム」と「治療シークエンス」を活用、ポジショニングを把握し、競合上の脅威を正しく把握する方法

最初の例として、米国メラノーマ市場での治療実態情報の活用からの戦略的な意思決定の方法を述べます。

彼女は、製薬会社の市場ストラテジストで、同社の製品がメラノーマ市場で「PD1+CTLA-4併用療法」がどのような位置づけになるかを理解しようとしているとします。

そのためには、彼女は以下のような情報を正確に治療実態を理解することで得たいと思ってます。

  • 同市場での競争上の脅威の確認
  • 異なる臨床シナリオの中での同社のポジショニングを把握
  • マーケットシェア拡大の機会を評価
  • 最適な製品ポートフォリオの達成と今後の研究開発に向けたプラン構築

治療アルゴリズムで各治療グループでのレジュメンの割合を把握

彼女の最初の検討資料となるのがDRGの治療アルゴリズムデータです。この情報は米国のCurrent Treatmentレポート(Malignant Melanoma | Current Treatment | Detailed, Expanded Analysis)から得られます。

このデータでは、薬物治療の対象となる患者グループを示すもので、各患者グループ間の関係と相互のつながりを表しています。このチャートから得られるさらに詳細情報として、薬物治療のレジュメンとそのレジュメンごとで薬剤を使用している患者の割合が得られます。

これは、きわめて重要な市場評価のためのデータです。

たとえば、PD-1+CTLA-4併用療法であるオプジーボとヤーボイの投与されている患者グループを見てみましょう。同併用療法はメラノーマBRAF野生型の一次治療において29%と最も多く使用されています。実際、BRAF変異陽性患者グループでの一次治療(15%)のほぼ2倍の割合で使用されています。また、BRAF変異陽性患者グループにはもっと活用されている治療レジュメンがあり、最も高いのがBRAF MEK阻害薬であり、これがPD-1+CTLA-4阻害薬併用投与レジュメンの使用を妨げているように見れます。

しかし、きわめて重大なこととして、がん治療にあたる医師がBRAF変異の状態だけで処方を決定するわけではないということです。

患者が以前に受けた治療や、患者のがんの分子生物学的な特徴によっても左右されます。

ですから、処方状況と機会をより正確に把握するためには、そのほかのファクターの考慮も重要です。たとえば患者の疾患が急速に進行しているのか、あるいは進行が遅いのかという特定の治療状況を想定、その状況での「治療シークエンス」を把握することでより正確な「治療実態」と言えます。DRGでは、治療の判断に与える要素をより詳細に検討するため、がん治療医に対して直接インタビューを実施し「治療シークエンス」も明らかにしています。

患者の状況の違いでの治療傾向を医師へのインタビューで把握

では、BRAF変異陽性でも急速進行性の患者と緩徐進行性患者という異なる要素を踏まえ、治療薬の処方順序の治療パターンの調査インタビューを実施、この調査結果から、急速進行性と緩徐進行性のどちらの患者のシナリオであっても、BRAF MEK阻害薬を使用したあとの二次治療では、オプジーボ+ヤーボイが最も多く処方されていることがわかります。

一方、緩徐進行性の患者では、一次治療としてオプジーボ+ヤーボイが、最も頻繁に処方されていることがわかります。しかし、全体を把握するには、BRAF野生型の患者を考慮する必要があります。
BRAF野生型の患者に対して、急速進行性と緩徐進行性いずれにおいても、同様の割合の医師が一次治療としてオプジーボ+ヤーボイを使用しています。

さたに、オプジーボ+ヤーボイは、緩徐進行性の患者ではヤーボイ投与後の二次治療としても頻繁に処方されています。

それぞれの治療レジュメンの投与割合が患者グループごとにわかる治療アルゴリズムに加えて「治療シークエンス」情報を活用することで、製薬会社のストラテジストはPD-1+CTLA-4併用療法の位置づけと競合上の脅威を把握でき、将来の研究開発を計画することができたということになります。

EU5カ国での医師の専門分野による「治療シークエンス」の微妙な差異を理解する方法

それでは二つ目のシナリオをみてみましょう。この例では、前立腺がんのホルモン剤のブランドマネージャーがEU5カ国の腫瘍内科医と泌尿器科医との間での治療パターンと市場の動向の差がどのようになっているのかを検討したいと考えています。

このブランドマネージャーは、以下のように多くのことをする必要があります。

  • 詳細な治療シークエンスを分析し各ブランドのシェアとポジショニングの把握
  • ブランドのライフサイクルマネージメントと営業戦略の実行
  • 営業とマーケティングのリソース配分
  • 異なる医師の専門分野別の製品の位置づけと治療シークエンスの微妙な差異を理解

先ほど示したメラノーマの治療アルゴリズムと同様に、このブランドマネージャーは前立腺がんに関するDRGの治療アルゴリズムデータと治療シークエンス情報を活用します。

まずは、治療アルゴリズムデータで、早期のホルモン感受性から転移性去勢抵抗性にいたるまでの主な患者グループと、薬物治療の割合と各薬剤を使用している患者の割合に関する重要な市場評価指標を把握します。

ここで重要なのは、DRGの治療アルゴリズム情報によるとEU5カ国において腫瘍内科医と泌尿器科医との間において治療での相違点を示すデータが示されていることです。

さらに治療シークエンスの情報を活用する

さらに、商業的にもっと意義のある治療シナリオを詳細に検討したいとブランドマネージャは考えます。
メラノーマ同様に患者の症状に応じての治療の順序、所要割合の差異を医師へのさらなる一次調査で明らかにしていきます。

前立腺がんの専門医師に対して、去勢抵抗性前立腺がん患者のうち無症候性、軽度症候性、または症候性の患者それぞれに対して最も頻繁に用いる治療レジュメンとシークエンスを調査します。

治療アルゴリズムだけでは把握できない治療実態

この調査を、腫瘍内科医と泌尿器科医に実施します。今回は、多くのデータがありますので、2~3例だけ挙げてみましょう。

最初の例として、無症候性の患者では、ザイティガが腫瘍内科医と泌尿器科医のいずれでも一次治療として2番目に多く処方されています。ところが、シークエンス、つまり処方順序は専門分野によって異なります

腫瘍内科医では、ザイティガはドセタキセルを使用したあとに最も多く処方されていますが、泌尿器科医では、ザイティガはLHRHアゴニスト製剤のあとの二次治療として最も多く処方されています。

症候性の患者でも同様のパターンがみられ、ザイティガは腫瘍内科医の間ではドセタキセルのあとの二次治療、泌尿器科医ではLHRHアゴニスト製剤のあとの二次治療として処方されることが最も多くなっています。

一例ではございますが、治療アルゴリズムに治療シークエンスの情報を活用することでより戦略的判断のための治療実態を活用することができます。

このデータを使って、ブランドマネージャーは医師の専門分野間の類似点と相違点を把握、マーケティングリソース配分と営業戦略の計画を立てることができるいうことになります。

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弊社の治療シークエンスソリューションに関する詳細は、弊社によるデモンストレーションと合わせて以下の癌腫においてすでに発行されている調査レポート「トリートメントシークエンスレポートシリーズ」をご用意いたしますのでご活用ください。

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