オプジーボ+ヤーボイが大腸がん対象でFDAの承認を得る。大腸がん市場において製薬会社が知っておきたいこととは?

2018年8月31日
 
全世界の製薬業界の意思決定をサポートしている市場調査およびコンサルティング会社であるディシジョン・リソーシズ・グループ(DRG)のオンコロジー部門の責任者であるDr.アンドリュー・メロンが、最新のオンコロジー分野でのホットトピックに関して発行するYoutubeでの投稿内容を日本語でお届けいたします。

今回2018年7月の投稿は、大腸がんを対象とした今後の承認と市場の動向について解説を致します。先日、米国でのチェックポイント阻害剤併用(オプジーボ+ヤーボイ)が大腸がんを対象として承認を受けたニュースから、今後の大腸がん市場における承認薬の傾向とこららの新規承認薬が大腸がん市場へ与えるインパクトを分析いたします。
今月も、DRG社のオンコロジー部門の責任者であるアンドリュー・メロンが解説を致します。
 

オリジナルタイトル:Opdibo + Yervoy’s FDA Win for Colorectal cancer, what pharma needs to know
発表:DR. ANDREW MERRON / Decision Resources Group (DRG) , Executive Director , ONCOLOGY

オプジーボ+ヤーボイ、大腸がんの亜集団対象で第2相試験結果に基づき承認

今日は、オンコロジー分野での最近の出来事についてお話ししたいと思います。7月初めに米国医薬品局(FDA)は、遠隔転移のある大腸がんの治療としてオプジーボとヤーボイの併用療法を承認しました。これは、化学療法後にマイクロサテライト不安定性が高頻度(MSI-H)、もしくはミスマッチ修復機構の欠損が認められた場合を対象において全奏効率が46%であったことに基づいてFDAが承認したものです。 この承認は、実に興味深い出来事であり、今回のオプジーボ+ヤーボイ承認の要点を含め、以下の2点についてお話をしたいと思います。

  • つづくチェックポイント阻害薬の併用療法の承認取得
  • 特定の亜集団を対象にした第2相試験に基づく承認

まず1つ目は、オンコロジー分野で承認された免疫チェックポイント阻害薬のまた別の事例であり、オンコロジー分野ではこの流れが続いています。2つ目の理由は、FDAが第2相試験に基づいて承認した薬剤の例の1つであるということです。

大腸がんの治療薬、他のチェックポイント阻害薬の今後の展望は?

表面的には、大腸がんはチェックポイント阻害薬に適した疾患であるようにみえます。ただ、現在承認されている薬剤はごく一部の患者集団を対象にしていることに留意していただきたい。つまり、この非常に大きな治療可能な集団には使用できないのです。これは、大腸がん患者のうち、高頻度MSIはわずが5%にすぎないためで、現在の承認薬は非常に小さな亜集団が対象になっています。

腫瘍がMSI-Hまたはミスマッチ修復機構欠損を示す大腸がん患者はわずか5%にすぎない

今後、さらにチェックポイント阻害薬が承認される可能性があります。デュルバルマブ(Imfinzi)もその1つで、キイトルーダ、オプジーボ、そして今度はオプジーボとヤーボイの臨床試験の条件設定をほぼそのまま反映していますから、承認される可能性があります。

ただし、チェックポイント阻害薬の臨床試験が全部成功するわけではないことを覚えておくことも大切です。

有名な失敗例にテセントリクとコテリックの併用療法があり、ロシュ製品の併用ですが、失敗に終わりました。そしてこれは、はるかに大きな患者集団を対象にして失敗しており、そうでなければチェックポイント阻害薬による治療機会をさらに拡大しただろうと思われます。

ともかく、それが失敗に終わったということは、このようなチェックポイント阻害薬が適切である集団に絞る必要があると考えることが重要です。

5剤の間で、100件を超える臨床試験が現在進行中も?

製薬会社が大腸がん治療薬の開発を進めながら、考慮する必要のある課題は何があるか述べたいと思います。現在、大腸がんに対してPD-1/PD-L1阻害薬のわずが5剤だけで、100件を超える臨床試験が現在患者の登録中または進行中です。

私が主に重要だと思うことの中に、大腸がんに対して現在いくつかの免疫チェックポイント阻害薬が使用可能である一方で、小さな患者集団を対象にしています。先ほどのとおり、大規模な患者集団に対しては失敗例もありました。

ですから、チェックポイント阻害薬が市場に参入したとはいえ、たとえばメラノーマや膀胱がんと同じように、大腸がん市場を実際に変化させてはいません。

大腸がんに関して製薬会社が考慮する必要がある他の点としては、それは、ここに明らかに大きなチャンスがあるということです。依然として早急に新薬が必要な高頻度MSI群以外の患者がいますし、他の薬剤クラスも開発が進行しています。

その一例としてBRAF/MEK阻害薬があります。これも承認されると思いますが、これもまた実際にはBRAF突然変異という小さな患者集団に絞られることになります。

大腸がんは全体の収益がおそらく減少する可能性

他のほとんどの疾患とは異なり、大腸がんは全体の収益がおそらく減少する可能性のある分野の1つです。

オンコロジー分野が信じられない速さで変化していて、ほとんどの疾患の市場が成長していることは周知ですが、大腸がん市場は実際にはおそらく下降線をたどるでしょう。アバスチン、セツキシマブ、その他の生物製剤が独占しているという事実がありますが、このような薬剤も同じように勢力が衰えるでしょう。

本日はこの動画をご覧いただきありがとうございました。興味を持っていただき、参考にしていただければ幸いです。今後の動画も楽しみにしていてください。来月もこのシリーズで別の動画を作成します。

製薬会社にとっての大腸がん市場の主な要点

  • 大腸がんに対する新規免疫チェックポイント阻害薬の新たな状況変化は、小さな患者集団を対象とする承認のため、限られたものになる
  • MSI-H/DMMR以外の患者集団には、まだ満たされていない高いニーズがある
  • BRAF/MET阻害薬など新しい薬剤クラスが今後参入するが、状況の変化は限られたものになる
  • 大腸がん市場は、バイオ後発品との競争によって全体の収益が減少傾向にある

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来月もまたお会いできるのを楽しみにしています。
 
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