オンコロジー領域での臨床試験の傾向と対策:最新のガイドライン改定への対応は?

ANDREW MERRON

2018年8月31日

全世界の製薬業界の意思決定をサポートしている市場調査およびコンサルティング会社であるディシジョン・リソーシズ・グループ(DRG)のオンコロジー部門の責任者であるDr.アンドリュー・メロンが、最新のオンコロジー分野でのホットトピックに関して発行するYoutubeでの投稿内容を日本語でお届けいたします。

今回2018年8月は、最新のオンコロジー領域での臨床試験に関するガイドラインの改定に関して、製薬業界そして製薬メーカーに与えるインパクトに関して考察を加えております。

 

オリジナルタイトル:Oncology Clinical Design: Impact of the latest Industry guidelines for pharma
発表:DR. ANDREW MERRON / Decision Resources Group (DRG) , Executive Director , ONCOLOGY

オンコロジー分野の臨床試験デザインの最新情報

こんにちは。DRG oncologyの動画シリーズを今月もご視聴いただきありがとうございます。DRGのオンコロジー部門の責任者であるアンドリュー・メロンです。

今日は、最近起きた2つの重要な出来事についてお話ししたいと思います。どちらもオンコロジー分野の臨床試験デザインに関連するものです。今月、私からは以下の二つのトピックに関して、考察を述べたいと思います。

  • FDAの迅速な開発支援を目的とした、開発初期段階での臨床試験に関するガイドライン改定草案を発表
  • ASCO(米国臨床腫瘍学会)とFriends of Cancer Research(がん研究後援会)が臨床試験の対象者の選択基準に関する推奨事項を提示

FDAの新しいガイドラインが患者と製薬業界にきわめて重要であるのはなぜか?

ANDREW MERRON

まず一つ目のFDAによる臨床開発のガイドラインの新たな草案が発表に関してです。これはFDAがオンコロジー分野の初期段階の離床試験のガイドラインの改定案で、迅速な開発促進を目的としたものです。

ではこの草案の注目するポイントをピックアップしてみます。

革新的な治療薬を今よりも早く患者に届けるため、新規がん治療薬の臨床開発を促進

FDAのガイドライン草案は実に重要です。というのも、このガイドラインによって新規がん治療薬の開発が促進されるからです。それが患者にとって、社会的にも大きな利益となるのは明らかで、製薬会社にとっても同じで、自社の薬剤を早く市場に送り込めるということでもある。このガイドライン草案には、薬物動態や薬力学に関する評価項目など初期の臨床試験の評価項目のなかでも有効性などが、第2相試験と関連が深い評価項目へ移行が途切れないようにするという意図があります。

FDAガイドラインの主な4つの要素は?

ガイドライン草案は主に4つの点について述べており、製薬業界の方々の関心が高いであろう。

  • 臨床試験デザインについてFDAに相談する時期
  • 適している薬剤
  • 新薬臨床試験開始申請書(IND)に必要なもの
  • 患者の安全性確保

これら4つに関してガイドラインの草案では述べている。

たとえば、開発を迅速に進めるに上でも安全性の担保は非常に重要です。オンコロジー分野の初期の臨床試験においては患者や安全性の特徴に関して最小限の情報しかない新薬を検討するわけですから、それが複数のコホートに拡大した研究として初めてヒトを対象とする試験なわけです。ガイドラインの方針は非常に重要な項目であることに間違いはありません。

ASCOによる臨床試験対象者の選択基準に関する推奨事項

ANDREW MERRON

ASCOの臨床試験に関する推奨事項は、がんの臨床試験の以下のような選択基準の広げ方について例を示して説明を加えています。

  • 臨床試験に参加できる患者グループを拡大できるのか?
  • 実際の治療現場にさらに近いアウトカムを得る

臨床試験は、実際の臨床現場でみられる典型的な患者を対象にして検討するべきでり、実臨床に近い条件下で実施することは大切なことです。

しかしながら、実際の臨床試験が設定した環境にある場合と同等の成績が現場の臨床で得られることは稀であることはわかっています。

これは臨床試験実施の際に課されている遵守するべき厳しい選択基準によるためです。

臨床試験対象者の選択基準拡大のために推奨される5つの(除外しない)特徴

ANDREW MERRON

ASCOとFriends of cancer research(がん研究後援会)が選択基準拡大のために検討している5つの主な特徴を特定しました。臨床試験を実施する際の患者の登録の際に、以下のような背景をもつ患者に関してより考慮するべきとの記載があります。

  • 脳転移
  • 併存する他の悪性腫瘍
  • 臓器の機能不全
  • HIV感染
  • 登録のための最低年齢

それは、脳転移がある患者、併存する他の悪性腫瘍がある患者、臓器の機能が低下している患者、HIV感染患者、そして臨床試験の登録のための選択基準になっている最低年齢の患者です。

この選択基準を変えることによって、参加できる患者を増やすことができ、それは社会的にも有益であり、さらに実際の現場にもっと近づくことになります。

製薬会社のためになる3つの留意点

ANDREW MERRON

先ほどお話したニュースから、製薬会社として以下3つの留意点を挙げたいと思います。

  • 臨床試験デザインをさらに効率よくする
  • 実際の現場を反映するために臨床試験の選択基準を緩くすることを考える
  • 臨床開発戦略の進捗状況を週単位で確認する

1つ目は、臨床戦略を速やかに開発することが大切であるということ。

ただ、慌ててはいけません。慌てて計画した臨床開発が失敗に終わった例がいくつかありました。そうではなく、効率のよい臨床試験デザインにすることが重要であり、また、最近作成されたFDAのガイドラインに従ってやればできることです。

2つ目の留意点として私が提案するのは、臨床試験の対象者の選択基準を厳しくし過ぎないようにすることです。もちろん、たとえば脳転移やHIVがない患者さんを対象にすれば、有意な有効性を実証しやすいかもしれません。ですが、臨床の現場で実際に何が起こっているかを考えてみてください。われわれには、できる限り大きな集団にとって有益となるがん治療薬が必要です。

そして最後に、私が本当に重要だと思うことは、製薬会社には、絶えず変化しているオンコロジーの臨床現場の状況を考える必要があるということです。ほとんど週単位で臨床試験デザインを変えるようなつもりでいることが必要です。それほど状況の変化が激しいということです。

本日もオンコロジー動画シリーズをご覧いただきましてありがとうございました。今回のセッションを楽しんでいただけたでしょうか?

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ディシジョンリソーシズ(DRG)のオンコロジーユニットでは、全世界のがん領域における業界関係者の意思決定のサポートを致しております。疫学情報、市場のフォーキャスト、アンメット二ーズなどの調査報告書に加え、私を含めたアナリスト、コンサルタントによりアドバイザリーサービスなどお客様のニーズに柔軟に対応したサービスを提供しております。

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