アトピー性皮膚炎:バイオ製剤メーカーは乾癬治療薬市場から何を学ぶべきか

2017年6月13日
 
リウマチ・皮膚・消化器系自己免疫性疾患の治療において、バイオ製剤は大きな革命を起してきました。

皮膚科領域では、乾癬・アトピー性皮膚炎・強皮症など多くの疾患で、より効果的な治療が望まれていますが、製薬企業は採算の良い乾癬市場をメインに投資をしています。

この10年間で、乾癬治療に対し多くのバイオ製剤が承認を取得し、局所剤や全身経口剤と比べ、より優れた皮膚症状とQOL改善効果を発揮しています。

2015年には、欧米6ヵ国(米国・イギリス・スペイン・フランス・イタリア・ドイツ)の乾癬治療薬市場の売上のうち、80%をバイオ製剤が占めています。

現在莫大な乾癬市場は、TNF-α阻害剤であるアムジェン/ファイザー社のエンブレル、アッヴィ社のヒュミラ、IL-12/23阻害剤であるヤンセン社のステラーラと、2004年から2009年の間に承認された、いわゆる乾癬バイオ製剤の“第一の波”といわれる薬剤が支配しています。

しかし、その使用にかかるコストが今も大きなハードルとなっており、他の比較的低コストな治療が使用できない、もしくは奏効しない場合に使われることがほとんどです。

2014年時点で、米国における乾癬治療に用いられるバイオ製剤売上上位3品目の一年間の使用にかかるコストはステラーラが最も高く(US$53,339)、次いでエンブレル($46,395)、ヒュミラ($39,041)でした。

米国だけではなく、欧州においても医療費抑制の流れがあるため、急速なバイオ製剤の浸透やIL-17阻害剤に始まる新たな承認の波による医療費の押し上げは、最適な価格・償還やフォーミュラリーでの位置づけを獲得することを益々困難にし、高薬価の薬剤に対して慎重な姿勢を取らざるを得ない状況になっています。

 

 

一方で、アトピー性皮膚炎市場は、従来から低コスト治療が主流でジェネリック比率も高く、局所ステロイド剤やカルシニューリン阻害剤が中心となっています。

局所治療が奏効しない場合はシクロスポリン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル等の全身性免疫調整剤が用いられます。

米国ではアトピー性皮膚炎に対し、全ての全身性免疫調整剤が適応外使用で処方されているのに比べ、ヨーロッパではシクロスポリンのみが適応を持っています。

主流となる薬剤が低コストであるため、支払者側も特に処方制限等の方針は考えていませんでしたが、高額なバイオ製剤が急速に浸透したことを受け、状況は大きく変化しそうです。

アトピー性皮膚炎初のバイオ製剤であるサノフィ/リジェネロン社のIL-4/13阻害剤Dupixentがすでに米国で上市され、ヨーロッパでは2018年に承認を取得する見込みです。

その他にもアストラゼネカ/レオファーマ社のIL-13阻害剤tralokinumab、ロシュ社のIL-13阻害剤lebrikizumab、中外/ガルデルマ社のIL-31阻害剤nemolizumabが今後数年間のうちに、多くの国で承認を取得すると見られています。
 
より詳細な情報は、弊社米国本社サイトをご参照下さい。

What Lessons Can Manufacturers of Atopic Dermatitis Biologics Learn from the Psoriasis Market as they seek to Clear High Market Access Hurdles in the United States and the EU5

 

お問い合わせはこちら